
業界理解・とりまく環境
高齢者の暮らしを支える
社会システムと
介護リフォームについて
社会環境の変化と2040年問題
高齢化のピーク・労働力不足・社会保障の限界
日本は、国際社会においても過去に例のない“人口構造の大転換期”を迎えます。
その象徴が「2040年問題」です。
| 年 | 65歳以上人口 | 75歳以上人口 |
|---|---|---|
| 2025年 | 約3,650万人(約29.1%) | 約1,980万人(約15.8%) |
| 2040年 | 約3,920万人(約35.3%) | 約2,210万人(約19.9%) |

2040年には、65歳以上人口が約3,920万人(総人口のおよそ35.3%)となり、75歳以上の後期高齢者は約2,210万人に増加します。これは総人口の約19.9%にあたります。
それにともない、要介護・要支援の認定者数も大幅に増加し、2040年には988万人に達すると推計されます。 参照情報[経済産業省]
急激な高齢化により、医療・介護の需要がさらに増加することが予測されています。
生産年齢人口(現役世代)は急減

その一方で、生産年齢人口(20~64歳)と呼ばれる現役世代の人口は減り続けます。
1995年には約8,700万人だった現役世代は、2040年には約5,900万人に。生産年齢人口は約3割も減ることが予測されています。 参照情報[国立社会保障・人口問題研究所]
現役世代1人あたりが支える高齢者の数は2.0人から1.4人に。
労働力も減り、医療・介護を必要とする人が増えることは、社会保障制度の持続性に深刻な影響を与えます。
社会保障費はすでに限界水準に
介護・医療・年金などを合わせた社会保障給付費は、2040年に190兆円に達すると推計されています(2022年:約134兆円)。
増え続ける支出に対し、労働人口の減少で、財源確保が困難になることが予想されます。
介護労働者の不足が深刻な課題に
介護業界の人手不足は深刻化しており、現時点で介護人材は約22万人不足しています。2040年には69万人以上の介護人材の追加が必要とされていますが、むしろ介護業界では人材流出が続いているのが現実です。
このように、2040年に向けて、この社会は大きな課題に直面しているのです。
地域包括ケアシステムで在宅介護中心へ
在宅介護が中心になる社会
日本では高齢化が進むなかで、多くの高齢者は自宅で生活を続けています。
厚生労働省のデータによると、要介護・要支援認定者数は 726万人(2024年時点)。そのうち、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設や、有料老人ホームや高齢者住宅、グループホームなどに入居・入所している方は約227万人となっています。つまり、約499万人が在宅で暮らしている状況です。つまり、要支援・要介護認定者の約7割はご自宅で生活をしています。
| 高齢者人口 | 要支援・要介護 認定者数 | 施設入所者数 |
|---|---|---|
| 3,650万人 | 726万人 | 227万人 |

地域包括ケアシステムとは
こうした現実を踏まえて国が進めているのが、「地域包括ケアシステム」です。
これは「高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続ける」ことを目指し、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する仕組みです。
介護労働者の人員確保やコストのかかる施設を中心にするのではなく、より財政負担が少なく、本人らしい生活ができる場所として在宅で過ごす時間を長くすることを目指しています。つまり、国の方針として「施設よりも在宅を中心に支える社会」へのシフトが明確になっているのです。 参照情報[厚生労働省]

在宅介護を支える住環境整備
地域包括ケアシステムにおいて中心になるのが「住まい」です。介護が必要になっても安心して、自分らしく暮らせる住まいであることが求められています。
それを実現するために重要な役割を担っているのが、介護リフォーム。言い換えれば、地域包括ケアシステムという社会システムの土台を作るのが私たちの仕事なのです。
介護リフォームの意義
介護リフォームが必要とされる理由
在宅介護を支えるうえで特に注意すべきなのが「住宅内での事故」です。
厚生労働省の統計によれば、高齢者の不慮の事故死の要因として最も多いのは住宅内での転倒・転落・墜落です。
特に浴室や階段、玄関など、日常生活の中で頻繁に通る場所が大きなリスクになっています。
しかも、不慮の事故死につながる転倒事故の件数は年々増加傾向にあります。
転倒や骨折は、そのまま要介護状態につながる大きな原因のひとつでもあります。
在宅生活を続ける高齢者が増える中で、住宅内の事故を防ぐための環境整備は、ますます重要な課題となっています。 参照情報[消費者庁]

その解決策として注目されるのが「介護保険による住宅改修」です。
手すりの取り付け、段差解消、滑りにくい床材への変更など、事故を未然に防ぐためのリフォームを公的な制度上に位置付けることで、在宅介護を支えています。
介護保険住宅改修の種類
当社介護リフォーム事業では、全国の介護が必要な高齢者が、自宅で普段の生活をするにあたり、危険な住環境を介護リフォームによって改善しています。介護保険法ではこれらの項目が保険の対象として扱われ、当社の介護リフォーム事業の中心となっています。

①手すりの取付け
転倒を防止し、移動を手助けするための手すりの取付け工事。 玄関・廊下・階段・トイレ・浴室など、必要な箇所に設置します。 手すりの形状に特別な指定はないため、利用者が使いやすい高さや形状で設置することが重要です。

②段差の解消
手すリの取リ付けと同様、転倒防止と移動をスムーズにすることを目的とした工事。スロープの設置や、踏み台の固定設置、敷居の撤去など。床をかさ上げすることによって、家の各所の段差を解消する。

③床材・通路面の材料変更
転倒防止などを目的に、既存の床材に滑りにくい加工を施す・滑りにくい床材に交換するという工事。車椅子が使いにくい畳の床を、フローリングに変更する場合もこの工事に含まれる。滑リが悪すぎる場合には、逆につまずきや転倒の原因になるため注意が必要。

④引き戸などへの扉の取替
握力が弱くなリドアノブを回すことが困難になるケースや、開き戸が邪魔して車椅子の移動がしにくいといったケースに対応し、 ドアを引き戸や折れ戸などに変更する工事。重くて開けにくい引き戸を、軽い引き戸に取り替える工事や、握力の弱い方であればドアノブをレバーハンドルに交換する工事なども含まれる。

⑤洋式便器などへの便器の取替
高齢者が立ち座りをし易くできるように、和式便器を洋式便器などに交換する工事。この際、洗浄機能や暖房機能がついている便器でも取替は可能。また、もともと洋式トイレの場合でも使いやすいように高さを変更する工事や、向きを変える工事であれば支給対象となる。
①~⑤に付随する改修工事
手すりを取り付ける為の下地工事、浴室の床のかさ上げに伴う給排水設備工事など、①~⑤に付帯する工事であれば支給対象となる。
介護保険による住宅改修の対象と利用者負担
対象者が要介護・要支援の認定を受けており、必要な申請手続きを行って上で、必要な工事だと認められる場合は、介護保険の対象工事として認められます。
20万円までの工事費が介護保険による給付対象
利用者の自己負担は 原則1〜3割のみ
利用者は経済的負担を大幅に軽減しながら、自宅の環境を整えることができます。
介護保険制度のもとで行われる介護リフォームは、単なる施工ではなく、
高齢者の 生活の質(QOL)向上
転倒や事故を未然に防ぐ 安全の確保
家族の介護負担を減らす 生活支援
といった視点に立つ、社会的に大きな意義のある仕事です。
今後の介護リフォーム市場
安定した需要
介護保険制度に基づく住宅改修は、毎年安定して40万件前後実施されています。
厚生労働省の統計によると、令和4年度の住宅改修件数は42.5万件、総費用額は約405億円でした。
この数字は年度によって多少の増減はあるものの、制度創設以来、長期的に安定した水準を維持しています。
2040年に向けて、在宅で暮らす要介護・要支援認定者は年々増加していきます。
介護の担い手が十分に確保できない中で、国の方針は「在宅中心の介護」。
しかし、住宅内には段差や浴室、階段など多くの危険が潜んでおり、高齢者の不慮の事故死の要因として最も多いのが住宅内での転倒・転落です。
だからこそ、安全な住環境の整備=介護リフォームは在宅介護を支える基盤として、ますます重要性を増しています。
介護リフォームの仕事は、安定した需要のある市場の中で、
高齢者の自立を支える社会的意義
景気や社会情勢に左右されにくい安定性
利用者や家族から直接感謝されるやりがい
地域に密着して働ける安心感
を備えたフィールドと言えます。
介護リフォームは、高齢化社会に不可欠なインフラを担う仕事です。
在宅での暮らしを安心して続けられるように、あなたの力が求められています。
私たちは、業界を牽引する 「介護リフォームのリーディングカンパニー」 として、地域の高齢者の暮らしを支え続けています。
一緒に、その最前線で活躍する仲間を求めています。










